Murder a sponsor.

「っ!」


 俺が間一髪のところでそれをかわした瞬間、再びどこかのスライド式の扉が開く音がした。

 その音の出所を探ろうとしたけど、女子生徒が再び包丁を向けて来るので、なかなか探し出すことが出来ない。


「やぁっ!」


 また女子生徒が俺に襲い掛かろうとした直後、横から舞さんが、頭に向かって勢いよく定規を振り下ろした。


「いっ……?!」


 一般の人なら思ったほど痛くなさそうだけど、剣道の達人の舞さんが振るうとなると痛いどころでは済まないらしく、女子生徒はその場で頭を抱えてうずくまった。

 安堵でちょっと気が緩んだ瞬間、背後に誰かの気配が――。


「ぐっ?!」


 慌てて振り返ると、見知らぬ男子生徒が包丁を突き付けてきたところだったらしく、俺は刃先が横腹を掠める程度で大事には至らずに済んだ。

 頭の中に警報が鳴り響き、自分の身を守るために、反射的にその男子生徒を蹴り飛ばす。ズサーッと蹴り飛ばされた男子生徒は、机の角に頭をぶつけて丸くなった。


「ぐぅ……っ!」


 自分の心臓の音が、うるさい。肩を大きく上下に揺らしながら、俺は必死に息を整える。

 危なかった。振り返るのが遅れていたら、俺は突き付けられた包丁で刺されていた。最悪、刺されどころが悪かったら、死んでいたかもしれない。

 そう考えると、ゾッとする。