Murder a sponsor.

「用心はした方がいいっていうこと、だよね……?」


 琴音の弱々しくも芯をついた発言に、俺達は同時にうなずいた。

 給食室には身を潜めるところだってたくさんあるわけだし、罠だって仕掛けられている可能性が決してゼロなわけじゃない。

 琴音の言う通り、用心して行かなければ……命取りになる。

 ……“命取り”?


「……なぁ」


 俺が話し掛けると、みんながいっせいにこちらを振り向く。


「給食室の中には……俺、1人で行く」

「はぁ?!自分が何を言っているのか分かっているの?!」


 俺の発言に反射的に声を荒げたのは、熊沢だった。


「みんなの分の食料や武器を、俺1人で取りに行くって言ったんだ」

「そんな、危険です!」

「真人くん、どうして……?」


 慌てる新名と、泣きそうな琴音の視線が突き刺さる。


「……この案を考えたのは、俺だ。みんなで給食室に入って、誰か1人でも死ぬようなことがあったら……俺は、耐えられない」


 俺が出した案で、誰にも死んでほしくない。特に、琴音には。

 俺は琴音のことが好きだ。ずっと、昔から。だからこそ、琴音だけは危険な目に遭わせたくない……!


「……だからといって、何があるのか分からないところへ1人で行くのは自殺行為よ。私も一緒に行くわ」


 舞さんは30㎝の定規を持ち直し、身構えながらそう言った。