Murder a sponsor.

「私は剣城 舞(けんじょう まい)。3年2組よ」

「えっ?!」


 さっ……3年?!

 どうしよう、こんな状況だからか、ずっと友達と話すようなタメ語で話してしまっていた……。

 血の気が引いている俺の隣で、同じように顔を真っ青にしてしまっている奴がいた。新名だ。


「剣城さん……?!」

「……?知っているのか?」

「知らないんですか?!剣城さんは剣道で有名な家庭なんです!頭がいいし見た目も綺麗だし……この学校では高嶺の花として有名なお方なんです」

「へっ、へぇ……」


 さっきの30㎝の定規の振り方にキレがあるように感じたのは、剣道の達人だったわけだからか。

 それにしても、新名……お前、やけに詳しいな。

 それほどまでに有名な人だったのか?先輩や後輩に関係なく、俺はそんな人にタメ語で話していたのか……。


「そんな大それたものじゃないわ」


 剣城さんは淡々とした様子で、さらりとそう言いのけた。

 ……この学校でそれほどまでに有名なら、新名が言ったような発言を、今までにどれだけ聴いてきたのだろう?

 俺とはまったく無縁の世界だけど……俺だったら嫌だな。高嶺の花じゃなく、みんなとはもっとフレンドリーに接していたいし。


「自己紹介は終わったようだし、そろそろ給食室に行きましょうか」

「そう、っすね。剣城先輩」


 ぎこちないながらも敬語で話すと、剣城さんはくすっと笑った。


「さっきまでの話し方で構わないわ。先輩なんて呼ばずに、もっと楽にしてくれていいから」


 本当にいいのだろうか……。