「なによ……アンタのせいじゃないっ!!!このチビッ!!!」


 肩をわなわなと震わせていた熊沢が、新名に向かって大声を出した。


「アンタが教室で待っていようって……そう言ったからみんな……みんなっ、それに従ったのにっ!!!」

「それは……」


 両目に涙を浮かべている熊沢。言葉が出ない様子の新名。熊沢は、教室の爆発のことを……思い返しているのだろうか。


「明ちゃ……」


 琴音が悲しそうな表情を浮かべながら、熊沢を落ち着かせようと声をかけたのだが……。


「アンタは黙っててっ!」


 それはさせまいと言わんばかりに、熊沢はキッと琴音を睨む。

 ビクリッと震えた琴音は、両目に涙を浮かべながらそのまま俯き、押し黙ってしまった。

 険悪な雰囲気に成り下がりつつあるので、俺は慌ててみんなの間に入る。


「今は言い争っている場合じゃないだろ。とにかく、念のために鋏を隠し持って講堂の方に行こう。給食室はそのあとでもいい」


 他のクラスメートが講堂に集まって避難しているのなら、もう給食室には行かなくてもいいかもしれないが……仮に誰もいなかったら、本当にみんなはどこへ行ってしまったのだろう?