――ガラッ。

 隣の教室の扉を開けた瞬間、俺を先頭にみんなが思わず息を飲んだ。

 教室の中には誰もいなかったんだ。

 机の上に教科書や筆記用具が置かれたままということは、俺らと同じようにさっきまで授業をしていたんだろうけど……。

 荷物をそのままに、どこかへ避難したということなのだろうか?どこへ?……考えられるとしたら講堂か?


「給食室に行って色々とそろえるより、先ずは講堂に行くべきかもしれませんね。皆さん、集まっているかもしれないですし」


 俺と同じことを考えていたのか、新名は自慢げにそう言い、自分の眼鏡をクイッと押し上げる。


「仮にそうなら、他の先生が俺らのクラスに何も言いに来なかったのは、どうしてだよ?忘れられていたっていうのかっ?!」

「……一理、ありますね。突然のことですし、気が動転していた可能性はあります。僕は怖くて見れませんでしたが、廊下の宮城先生のことを見たらただ事ではないとすぐに分かるはずですから」


 くそっ!教室で先生がやって来るのを待たずに移動していたら、こんなことにはならなかった……?!