「どこだ?!どこにいる?!」

「ここですよ、ここ!」

「ここか?!」


 一際声が大きいところの瓦礫を退けていくと、中から新名と、かばわれるように新名に抱き寄せられた熊沢がいた。


「無事なのか?!」

「そうみたいです」

「ええ、とっさに新名がかばってくれたのよ。……ありがとう」


 傷1つないと思わせる笑顔の新名と、少し顔を赤らめた熊沢。
 こんなにも余裕があるのだから、本当に傷1つないのだろう。
 俺は心の底からホッとし、2人の上に被さっていた瓦礫をすべて退けた。


「本当に大丈夫なんだな?歩けそうか?」


 俺が尋ねると、2人は手足をぶらぶらと揺らし、自分が無事であることをアピールしてきた。
 どうやら本当に大丈夫なようだ。


「他に生きているヤツはいないかー?」


 新名や熊沢のように、生きているヤツが他にいないかと声をかけたのだが……結局、返事はなかったんだ。


「くそう!」


 他のクラスメートを……救うことが出来なかった……。俺はクラスメートを死なせてしまった……。

 悔しくて、悲しくて、俺は物に当たるかのように瓦礫を殴った。