「もういい。」


蓮は俺の隣にしゃがみこみ、線香をあげて、手を合わせた。


「何がいいんだよ。」


そう言うと、スッと立ち上がり、俺に言った。


「お前がそのままなら───────」


────結愛ちゃんは俺がもらう。


っと…………………………。


は?
俺がもらう?
結愛を?


「バカ言ってんじゃねーよ!結愛は俺のもんだ。」


頭の中で何かが切れた俺は立ち上がって、蓮の背中へ叫んだ。


「勝手にしろ。」


そう言い残して、蓮は去っていった。


冗談じゃねーよ。


やっと見つけた奴なのに。


俺の隣で笑っていて欲しい奴なのに。


蓮なんかに渡すかよ。


拳を強く握り、一度、すみれ先輩を振り返ってみてから、家へと足を進めた。