「由貴ってさあ…男大好きですーって感じで超ムカつかん?」



「わかるわー。行雲君とか、冷泉先輩とか、可愛い一年生とかと騒ぎたいけん、マネジなんやろ?」



ヒソヒソ……クスクス。



二人がキャイキャイ話してる後ろ、まあつまり、廊下と教室の窓枠を挟んで話してる後ろだから、廊下なんだけど。



そこから、女子特有のイヤーな声が聞こえる。



本人達は聞こえてないつもりなんだろうけどさ、女子の高い声って結構響くもんじゃん?俺達に丸聞こえ。



行雲先輩の耳にも届いたらしく、話すのを止めた。



「大丈夫、慣れとるけん」



あからさまにピリピリしてる俺達に、由貴先輩が本当に気にしてないみたいで、いつも通りニッコリ笑う。



「…なあ椿。俺達ん男気、ホントの見せ時いつやと思う?」



その声に、俺はニヤリと左の口の端だけ上げて、答える。



「今じゃん?」



その返答に満足したらしい行雲先輩は、俺の頭を撫でると女子達の方へ歩いた。