親父は素早く頭上にボールを構えるが、行雲先輩の大きな体がそれを意図も簡単に阻止する。



しかし、予想通りだったらしい親父は、地面に足を戻して、さっき行雲先輩がやったピボットというステップで行雲先輩を翻弄する。



そして、目で追うのがやっとというようなスピードでダム、とドリブルすると、今度は下から、ひょい、とボールを投げた。



そのボールは、ゴールに吸い込まれるように入り、地面にバウンドする。



「うわあ…あんな綺麗なアップアンドアンダー決められたら困っちゃう」



そう言いながらも、目がきゅるるんってしてるピカ先輩。



「いつもあんなん相手しよると?椿ちゃんは」



「いや…あんなに本気モードな親父は、滅多に見ないかな」



それだけ、先輩二人が強いってことだ。