ザッザザッ!



行雲先輩は左足を軸に、ドリブルしながら左右前後に右足を動かし、親父を翻弄する。



「へー!ピボット、上手いねー」




…なんか、俺とやるより楽しそう。



「椿ちゃん、余所見しちゃいかんよ!」



「っあ!しまった!」



一瞬の隙を見て、俺のディフェンスから抜けたピカ先輩はダッシュでゴール下に向かう。



ただ、スピードに自信のある俺も、全力で走り、追い付く。



「早いねぇ椿ちゃんは。でも、それだけじゃ、俺には勝てんばい!」



ピカ先輩はそう言うと、急にゴールに向かっていた体を外に方向転換し、そのタイミングで行雲先輩からパスを受け取る。



「次はあっちの少年が絶妙なヴイカット!うはー!今の高校生って皆こうなの!?」



「この人達は特別スゲーの!見とれてんな馬鹿親父!」



俺は急いでピカ先輩を追いかけ、シュートするそのボールをナイスタイミングでブロック。