「し…………時雨、時雨武元選手ですよね」




行雲先輩はポロリ、とその言葉を漏らした。



「おろろ?俺が現役引退したの、10年も前の話なのに、見ただけで分かっちゃう?」




「えっと…どゆこと?」



事態を読めない俺に、興奮を取り戻したピカ先輩が大声で語り始める。



「時雨選手は数少ない日本人NBA選手ばい!え、椿ちゃんのお父さんやったとか、マジでスゲー!」



生まれてきた時から親だから、凄さが分からん。



「馬鹿椿!だいたい、日本人でNBAのチームに入っただけじゃなくて、NBAチームでスタメンになっとらす、マッジで凄か人とよ!…ところで名前、時雨から、小鳥遊…何故?」



「ああ、俺、婿養子だったから、離婚して、旧姓の小鳥遊に戻ったんだよ」



親父の説明に、きゅるるんおめめの可愛い先輩達が頷いた。