柔らかな体の使い方が特徴的な凌華学院のプレイスタイルは遅功型。



……というのは、基本的な情報として知っていたのだけれど。



「何じゃありゃ…スッゲェ」



昨年インターハイを制覇した王者の戦いは、その情報には収まりきらない試合だった。



4番、センターで主将の桜山を中心に、独特な空気感で執り行われる試合。



相手も、会場内全ての観客も、その凌華学院の空気に呑まれる。



特に俺達のような速攻型のチームから見たら凌華学院のテンポはかなり遅く、主導権は簡単に取れるだろうと思える、普通はね。



でも、凌華学院の凄みは、そのローテンポから急に、ハイテンポなプレイに移れるところだ。



相手が取ろうとすればするほどローテンポで翻弄し、それに合わせて来ようとすれば、ハイテンポに切り替える。