「……まぁ、御劔があの動きを出来るのは、裏でお前が俺達にサインで、ディフェンス配置の指示を送っているからだがな」



「こん会場に、一体何人分かっとる奴がおるとやろうか。ピカ先輩を使ってオフェンスばしよるんは、椿やてな。ほんなこつ、策士ばいお前」



俺と有ちん先輩の会話に混じる、秀吉キャプテンと行雲先輩。



「あくまで俺は、ゲームメイカーっス。気付いて貰えない方が有り難いけどね」



なんて答えて不敵に笑えば、各々が『やっぱ椿は敵に回したくなかわ』『うちの司令塔はえずか』『味方で助かったな』なんて呟きながら、再びディフェンスに戻った。



俺はコート上の駒じゃなくて、駒を動かす支配者。



冷静であれば穴は必ず見つかるし、俺の指示を的確に守れる駒がいるからこそ、ゲームメイクが出来るんだ。



「さー…どんどん行こう」



面白い程に上手く行く試合に、心の中で笑いながら、ピカ先輩の動向を視界の端で確認しつつ、左手で残りのメンツに次の指示を飛ばした。