相手がチッと小さく舌打ちしたのが分かったが、気にせずゴールへ走る。



だが、俺が補助する必要なんか、もう無いみたいで。


オフェンスの妖精なんて言われてるピカ先輩は、今日イチでいい動きをしていた。



これまで、何となく、今後の試合の為にか、力をセーブしていたように見えたピカ先輩は、全力だった。



作戦とはいえ、フルタイムで出場出来ないストレス、泰ちゃんのファウルトラブルと、ピカ先輩を起爆させるには、あまりにも多い材料達。



火が点くのが、遅すぎたくらいだ。それだけ『皆とバスケをする』ことを頭に入れ、我慢していたんだ。



「あんたは、セルフィッシュなプレイしてる方が輝くよな、ピカ先輩」



花江のディフェンスも、味方のフォローですら間に合わない程のスピードでピカ先輩は走り抜け、飛び上がる。



ダァァン!!



いつもは体力があるうちにしか見れないピカ先輩の小さな体が繰り出す、スラムダンク。