【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

第3クォーター、泰ちゃんのファウルトラブルで流れを奪われた水高は、ピカ先輩を加え、オフェンスに特化したものの、花江のオールコートマンツーマンに徐々に蝕まれ



水高89-52花江



前半で開いていた得点差を考えると、最終クォータに逆転されてもおかしくない展開へ。



「最後はリードば守る、とにかく守るんや!」



箱田先生が疲れ切った選手達を奮い立たせるように叫ぶ。



「小鳥遊椿……もう、いける?」



「当たり前っス。この10分で落ち着きましたし、相手の穴も、しっかり把握しましたよ」



その俺の返しに、由貴先輩もニンマリ笑い、俺の背中を強めに叩く。



「いっ…………!負傷する!」



「こんなか弱い由貴ちゃんに叩かれたくらいで負傷なんかせんて!」



じ……冗談じゃない。女バス時代パワーフォワードをしていた由貴先輩のどこが、か弱いってんだよ。



俺はヒリヒリする背中を擦りながら、泰ちゃんの方へ向かう。



「……目、少し腫れてるね。最後5分、インサイドを強化したいから、戦える?」



「任して。俺やて、こんくらいで倒れておれんけん」



明日の戦いに備えて、ホントは無理させたくないけど、明日の為に、今日勝つ可能性を少しでも上げたいんだ。



俺の気持ちを察した泰ちゃんが、肩に置いていた俺の腕を強く、握り返した。