【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

「………小鳥遊、今のお前は司令塔として使えん。お前も交代じゃ。皆も頭ば冷やせよ。試合にトラブルや納得いかん判断もつきもんやろ」



誰もが泰ちゃんのファウルトラブルに動揺と不満を持っている。



もしかしたら、その中で、俺が一番冷静じゃなかったかもしれない。



司令塔なのに、なんて無様な失態なんだろう。



「あのプレイで、熱くなってもいいポジションと、そうでないポジションはあるだろう?………御劔、最後まで走れるな?」



「うん。俺を出すってことはセンセー、俺は、熱くなってもいいんよね?」



ベンチに座った俺の代わりに、エメラルドグリーンの瞳をメラメラと燃やすピカ先輩が、立ち上がる。



「十六夜、小鳥遊がクールダウンするまで、お前が冷静になってプレイしていくんや」



「はい。………こんプレッシャーと流れや。かなり返されるから、早く、落ち着いてな」



俺の天パーをゆるゆる、と撫でた有ちん先輩は、ドリンクホルダーを由貴先輩に押し付け、コートの方へ戻る。



そうだ。泰ちゃんは大丈夫。だから、俺はベンチにいる今、もっとも最善な策で勝てるように、試合を見なくちゃいけない。



だから、ベンチに引っ込んで尚沸き上がるこの感情を、早く沈めなきゃ。