「この8分、向こうはヘアバンドキャプテンにボールを集めている。ってことは、ボールを取られた時のディフェンスは、今のよりキャプテンとキャプテンにボールを集める要の眼鏡先輩にマンツーマンで付く方が良い」



俺は由貴先輩から貰ったメモ帳に、これまた借りたボールペンで書く。



「残りの三人は、オフェンスにプレッシャーをかけるために、こう」



俺は紙に、二人がマンツーマン、残り三人が三角形のゾーンでディフェンスする陣形を書いた。



「ヘアバンドキャプテンには泰ちゃん。眼鏡先輩にはそっちのおっきい先輩。頼みますよ」



「トライアングルツーか。しかし小鳥遊、こんか高等技術、この新入生には…」



「でもやるっきゃない。…まずは、俺と泰ちゃんで必ず2点取り返すから、俺にボールを回してくれませんか?」



ザコタ先輩がごくり、と唾を呑む。



「もう、タイムアウトが終わる。さて、やってやりましょ!」



…駒はこちらが不利だけど、不思議と負ける気がしないんだよね。