【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

「御劔を引っ込めただと!?」



「おい嘗めんなよ!手抜きのつもりかよ!」



花江サイドの応援席から、ピカ先輩を外したことにより、野次が飛ぶ。



あの雑誌を見ていれば、うちはピカ先輩のワンマンチーム扱いだからな。そりゃ、そんな野次も飛ぶか。



「いややなぁ、手抜きどころか寧ろ、今んメンツの方が、ヤバイんやなかと?」



ピカ先輩はプラボトルを片手に、ヘラヘラっと笑う。



「俺もそれ思う。なんせ、ねぇ」



俺がコートに目を戻すと、調度パワープレイで行雲先輩が相手からボールをもぎ取っていたところで。



「速攻が来る!阻止しろ!」



花江の選手が、迫田先輩に二人、有ちん先輩に二人とダブルチームで速攻を止めにかかるが。



「ドンマイ。今回は違うとよなぁ」



行雲先輩はマンツーマンでついているディフェンスを上手く避け、ノーマークの秀吉キャプテンへボールを繋ぐ。



秀吉キャプテンは、受け取ってから瞬きも許さない程の早さで、正確な、美しいシュートモーションで3ポイントを打つ。



独特の回転がかかったボールは、空中で弧を描き、ストン、と殆ど何にも触れることのないまま、ゴールリングを潜った。



キュッ…………。



そのあまりの美しさと、スラリと伸びた長い脚がフロアに着地しバッシュと微かに摩擦した静かな音に、会場が魅せられ、静まり返る。