秀吉キャプテンも輪の中に混じり、トランプをシャカシャカとシャッフルし始める。



「由貴は?」



「あまり遅くなると箱田先生が心配するからと部屋に戻った」



有ちん先輩の質問にも動じることなく答える秀吉キャプテン。



その答え、隣でいかがわしいことしてたの肯定してるって気付いてる?気付いてない訳ないよね?わざとだよね?



「で?結局ちゃんと由貴ちゃんと恋人になったと?」



確信を突くピカ先輩の直球なオフェンスに、秀吉キャプテンが『む』と眉間に皺を寄せる。



こんだけはっきり聞かれるとは思ってなかったのか、困ってるみたい。



「……それは、インターハイが終わってからだ」



「え、何それ。外でチューしたうえに、今隣でエッチして、なんで付き合わんと?」



「お前はもう少しオブラートに包めないのか?…………付き合ってはいないが、ちゃんと、告白の予告はした。全て終わった後に、な」



器用なようで、ひとつのことしか集中出来ないキャプテンと由貴先輩らしい選択、なのかもね。うん、納得。



「消灯まで、まだまだ時間はあるんだ。それまで、楽しもうじゃないか」



「うぉー…秀ちゃんのそっちの話掘るチャンスばい、椿ちゃん、有ちん、任した」



「え、人任せかよ」



まー、楽しそうだし、負けてやんないけどね。



窓の外には、熊本とは違う、星の少ない夜空が一面に広がっている。



戦いの前夜に、ほぐれる緊張感に安心しながら、俺はキャプテンが配り始めたトランプを回収した。