昨日の練習を見るに、この人は突出した凄い選手ではないが、体力と判断力が優れているみたいだ。



この人が生き生きするのは試合の終盤。このミニゲームは、10分しかないみたいだし、それなら。



キュキュっと左足を軸にして眼鏡先輩をかわし、抜きにかかる…と見せかけて、視野の端っこにいるザコタ先輩へパス。



「うわあ、あぎゃんプレイ出来ちゃうん、凄かね」



なんて呆ける眼鏡先輩を置いて、俺はゴールまでダッシュ。



ザコタ先輩はヘアバンドキャプテンに捕まり手詰まり。


俺はサッと手を胸の辺りまで出し、パスの構え。



ザコタ先輩は不本意そうに再び俺にボールを戻す。



直ぐ様シュートモーションに入る俺のディフェンスにじゃじゃ馬姫先輩が走り込んでくる。



「簡単には打たせん!」



……まあ、視界の右端で見てたよ。走ってくんの。足はえーコエー。



でも、来るのわかってて素直にシュートするわけないじゃん。



俺は瞬時に、斜め後ろに飛びながら体を反らし、シュートを打つ。



「なっ……フェイダウェイやと!?なんこの一年坊!」



俺のシュートは相当高いじゃじゃ馬姫先輩のディフェンスの遥か上を舞い、そのままゴールポストへ吸い込まれた。



二、三年チーム0-2俺達チームの瞬間。