ジャンプボールは予想通りにあちらに取られ、ボールは泰ちゃんからピカ先輩へ。



「おっ!(成る程、ボックスワンね)」



さっきの作戦通り、行雲先輩は秀吉キャプテンに、残りの四人で四角形のゾーンを敷く。



「ふぅ、やっぱり椿ちゃんは敵に回せんわ。あっという間に攻撃ん道ば塞がれた」



なんて呟いたピカ先輩だったが、次の瞬間、ゾーンの中へまっしぐらに突っ込んできた。



「怯むな!!」



「了解っ!」



俺と槐はきゅっとそちらに集まり、二人がかりで足止めにつく。



「槐ぅ!絶対そっち抜かれんなよ!」



「椿の為なら、お兄ちゃん、気張りますえぇ!」



ピカ先輩は俺達兄弟のディフェンスに捕まり、ドリブルは止めぬまま、足だけ急停止。



「お花ブラザース、やるばいっ!」



恐らく、俺達の名前を文字ってあだ名を付けたピカ先輩は後ろへ飛び、ノールックで相手のパワーフォワードへパスを回す。



「リィィィ!!」



フロアに行雲先輩の声が響き、ボールがサークル内からゴールに一直線に舞う。



とても柔らかな膝の動きで放たれたゴール下からのワンショット。



しかしそれは、行雲先輩の声の威圧から、ほんの少し力み、バックボードに弾かれる。



巨体を伸ばし、飛び出す泰ちゃん。それに対して、ふわり、と布が風に舞うように飛び上がる、桜山。