翌日、合宿後半戦。
やはり走り込みからのスタートで、昨日の道のりを今日は泰ちゃんと、槐、その他水高部員三人、凌華学院部員四人と回る。
「あかん…僕、このままじゃ、この世からないないしてまう」
「ちょっ!響き可愛いけど、結構ヤバイこと言ってね!?あとちょいだから頑張れ!」
細っこくて、お琴を弾いてる姿の方が、バスケをしている姿よりしっくり来る槐は、やはりというか何というか、スタミナがない。
泰ちゃんは黙って持っていたミネラルウォーターを開封し、槐の頭からざーっとぶっかける。
「ああ…少しだけ、生き返りましたし。おおきに、泰河はん」
「いえ、皆で生き残りましょ」
泰ちゃんは昨日もロードワークを槐と過ごしたからか、対応に慣れてるな。
っていうか、普段から学校で体力基礎のシャトルランやる時、俺とピカ先輩、泰ちゃんに良くお世話になってるわ。
「椿は、今日は大丈夫やね?」
「うん、大丈夫。有ちん先輩のいつもの走り込みは、もっと凄い」
その答えに、泰ちゃんはふわり、と垂れ目を和らげて笑った。



