基本中の基本を集中的に底上げされた練習も、一日目が終わる。
「ヤッベー、足ガッタガタ。膝が笑っとるわ」
旅館に戻り、お風呂を済ませて尚治らない小刻みな痙攣に、ピカ先輩が下がり眉を更に下げている。
「俺も…ってか、動きすぎて気持ち悪い。飯食えるかな」
スタミナ不足の俺やピカ先輩は足全体にガタが来ていて、そりゃもう、立ってるのもしんどいレベル。
朝から夕方まであんなに動き回ることってこれまで無かったから、仕方ないことではあるんだけど、何か悔しい。
「しょんなかねぇ。マッサージしちゃるけん、横んならんね」
多分、俺達以上に下半身の使い方の基礎をみっちり叩き込まれたであろう有ちん先輩は、全く平気そうに笑い、俺の足にマッサージを施す。
隣のピカ先輩は、同様に泰ちゃんからマッサージを受けている。
「ああー!情けねー。これくらいでへばってちゃ、勝てないよなぁ」
「そんなことなかよ、ほれ、あの冷泉だって疲れて雑魚寝しとるとやけん、気にすることなかよ」
確かに、すぐそこには、お互いを枕にするように上手く体勢を取った秀吉キャプテンと行雲先輩の塊が横たわっている。
「でもさぁ、一番動いてた有ちん先輩は平気そうじゃん?」
「んー?こればっかは毎日の積み重ねで手に入れた武器やっけん、簡単にはへばれんて。それに、小鳥遊はまともにスポーツし始めたん4月からやのに、着いてこれとるやん、凄いこつたい」
はは、と笑う有ちん先輩には、欲とか、無いのかなぁとか思う。
だってこの人の体力で、俺みたいにすばしっこく動けたり、視野範囲広くて動体視力高かったらきっと、俺より凄いガードになれるのに。
身体能力やテクニカルがもっと高ければ、ピカ先輩よりいいフォワードになれるのに。



