桜山は、この凌華学院を纏める、言わばNo.1のポストの男だ。
ポジションはセンター。細い体つきをしているが、190センチはあるだろう。
そのすらりと伸びた上背で、ダム、ダム、とボールをじっくりさばく。
その両手に収まるボールは、普段俺がさばくよりずっと滑らかに、その空間を行ったり来たりしている。
空間を漂うと言うより、水中でゆらり、と舞うように。
さて…どう、攻めてくるのかな。
俺はじっくりと監察をする。焦らない、相手が焦って手を出してくるのを、待っているような気がするから。
「…いい選手やわ。(まだ1年生やと思ってちびっと甘く見とったけど、熊本県の代表校んガードや。流石に冷静やな。なら…!)」
行雲先輩じゃないけど、野性的に『来る』と感じた。
しなやかなふくらはぎが、ピリリ、とひび割れのように筋を浮かばせ、ボールを回しながら、キュッ、キュルっとステップする。
そして、ゆるりと動いていた時間が、急速にスピードを上げると、一気に俺の右脇を抜きにかかった。
「チッ!簡単に行かすか!」
「!!」
完全に俺を抜いたと思った桜山と、抜かれて尚、ボールを取ることに執着心を燃やす俺。
抜いて、左手から右手にドリブルする手をスイッチするその瞬間に、ビッと手を伸ばし、ボールをコートの外に弾き出した。
「えっと…抜かれた後に弾いた場合、どっちの勝ち?」
「んー、今のは引き分けってことにしまひょ」
まあ、抜かれた俺も負けた気分だし、弾かれた桜山も負けた気分だろうし、引き分けが妥当か。
ポジションはセンター。細い体つきをしているが、190センチはあるだろう。
そのすらりと伸びた上背で、ダム、ダム、とボールをじっくりさばく。
その両手に収まるボールは、普段俺がさばくよりずっと滑らかに、その空間を行ったり来たりしている。
空間を漂うと言うより、水中でゆらり、と舞うように。
さて…どう、攻めてくるのかな。
俺はじっくりと監察をする。焦らない、相手が焦って手を出してくるのを、待っているような気がするから。
「…いい選手やわ。(まだ1年生やと思ってちびっと甘く見とったけど、熊本県の代表校んガードや。流石に冷静やな。なら…!)」
行雲先輩じゃないけど、野性的に『来る』と感じた。
しなやかなふくらはぎが、ピリリ、とひび割れのように筋を浮かばせ、ボールを回しながら、キュッ、キュルっとステップする。
そして、ゆるりと動いていた時間が、急速にスピードを上げると、一気に俺の右脇を抜きにかかった。
「チッ!簡単に行かすか!」
「!!」
完全に俺を抜いたと思った桜山と、抜かれて尚、ボールを取ることに執着心を燃やす俺。
抜いて、左手から右手にドリブルする手をスイッチするその瞬間に、ビッと手を伸ばし、ボールをコートの外に弾き出した。
「えっと…抜かれた後に弾いた場合、どっちの勝ち?」
「んー、今のは引き分けってことにしまひょ」
まあ、抜かれた俺も負けた気分だし、弾かれた桜山も負けた気分だろうし、引き分けが妥当か。



