【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

「椿………!椿や!椿っ!」



「あー、女の人の涙には弱いから、泣き止んでよ…母さん」



今まで母親っていう存在が、他の友達にいるのが凄く不思議だったけど、何か、うん。温かい。



「俺も親父も元気だよ。まさか、こんな形で会えるとは思ってなかった。会えて嬉しいよ」



ポロポロ涙を落とすお袋の頬を拭ってやるけど、溢れる涙は止まらない。



「あー…元気にしてた?」



「あんさんこそ。ずっと会おいやしたかったんえ…かんにん、かんにんなぁ」



旅館のこととか、時雨家のこととかで、きっと俺とお袋は、親父と槐みたいに会えなかったのだろう。



特に、親父そっくりの俺とお袋が会ってしまったら、また二人の愛が芽生えて駆け落ち、なんて周りが考えたりしたんじゃないかと予測出来る。



「謝んなよ。良いじゃん、会えたし。槐とも再会出来て連絡先も交換したし、あいつブラコンだから毎日連絡してくるし、これからは、もっと繋がっていれるんじゃね?」



はは、と笑って見せると、お袋も、涙でぐちゃぐちゃの顔に笑みを灯す。



「武元はんに似てます。いちびりせやかて…えらい、いとおしい。ええおとこしに育ちたんや」



この不思議な優しい感情を、何て表したらいいんだろう。



なんか、うん。京都、来てよかったな。