「なんだその不気味な顔は」



その視線に気付き、秀吉キャプテンがギロリ、と俺達を睨む。



「いやぁー、早くカップルになればいいのにィーって思っただけやけど?ね、椿ちゃん!」



「そーそー、二人ならお似合いじゃねっスか?」



その言葉に『む』と秀吉キャプテンが口を一文字に縛る。



それは、かなりキツイ目付きだけど、照れてるっぽい顔。



「ンンー……秀ぇ」



普段、誰よりもピンと背筋を伸ばし、暑い日も文句を言わず笑顔で仕事をこなす由貴先輩。



多分、秀吉キャプテンのことも、有ちん先輩のことも特別視しないように接している由貴先輩だけど、寝てるときは、やっぱり『キャプテン』じゃなくて『秀』って甘えちゃうみたい。



秀吉キャプテンが、何かもう、スッゲー穏やかに瞳を細めて由貴先輩の小さな頭をを撫でた。



「あー、何今の綺麗な光景、ドキドキやねぇ。椿ちゃん、俺もナデナデして!」



「ハイハイ、愛してるよ、ピカ先輩」



もう、あの二人をからかうなんていう野暮なことをしてはいけない気がした俺達は、目線を正面に戻した。