【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

ギャーギャーと二人が争っているうちに、小鳥遊邸へ帰り着く。



既に帰って来ていた親父が、俺達を出迎える。



「椿、行雲君もお帰り!槐も、良く来たね」



「ちょっとの間ぶりどすなぁ、お父さん。達者にしいやたんやか?」



槐の言葉に、親父がゆるゆる、とだらしない笑顔になる。



二人の親しさから、ホントにこの人が俺の兄貴だということが、現実味を帯びる。



「ささ、中入って!汗かいたでしょ?あ、椿、頼まれてた食材買っといたよ」



「わー!今日のご飯何!?」



「椿印、夏野菜のカレー」



俺のその返事に、さっきまで不機嫌だった行雲先輩が我先にとうちに上がる。



この家の子供、俺なのになぁ。



なんて思いながらもほっこり。行雲先輩が脱ぎ捨てた靴を揃えて玄関に上がると、槐の方は不機嫌なまま。



「下品な人どす。かなんどすなぁ」



「行雲先輩は無邪気なところが売りだから。可愛いでしょ?」



つり目を細めた槐は、ぼそりと一言。



「かいらしいんは認めざる得まへんね。やて、椿ん方がかいらしい」



槐はどうやら、極度のブラコンらしい。



いとおしそうに撫でられてしまえば、何だか本能的に、懐かしい感情に包まれた。