「次!2対2+1!」



練習は、インターハイに向けて更に激しく進行する。



「ピカ先輩行くよ!」



「オッケー!」



速攻のレベルアップを目的とした練習、俺はピカ先輩と組み、コートを駆け回る。



そこに、ディフェンス組の行雲先輩と二軍の先輩。



行雲先輩が俺へ、モブの先輩がピカ先輩へ。



この場合、普通ならピカ先輩に回した方がオフェンスの確率は上がるだろう。



キュルっと右足で一本、斜め前にドリブルをしながらパスの体勢に入ると。



「ふん!ンなの読めとるって!」



「そー来るのも予想の範囲内だけど」



当然、パスを読んでいた行雲先輩がカットしにかかる。



でも、それこそ予想通りで、俺から見て右に反れた行雲先輩の体は、左は甘い。



ダム、キュッキュッ!!



「おわっ!しまった!」



手をボールの飛びかかかったコースへ回し、背中を経由してぐるりとボールを移動させると、ステップで左へ動き、次は左手でそのままドリブルし、行雲先輩を抜く。



その勢いで走ると、次に+1、ゴール下の二軍のセンターの先輩。



ひょいっと飛び上がり、シュートモーションに入ると相手がブロックに飛ぶ。



俺はブロックを避けるため、体を縮め、相手の左脇腹から、右斜め前にそっとボールを投げた。



勿論、そんなショットは簡単には入んない。小さいし、技術も高くないし、一人じゃね。



ボールの飛んだ先には、オフェンスの妖精が追い付いていて、それを掴み取り、レイアップを放り込む。



「よしっ!絶好調!ゴールまでのタイムは?」



決めることだけが練習じゃないから、俺はすぐに計測の同級生部員に声を飛ばした。