20分間休む間もなく、互いのオフェンスは譲らない展開。



会場の大学生や社会人も、高校生離れした俺達の試合に目を離せない。



重圧のない、お遊びにも近いこの試合に、純粋にバスケが楽しく出来る。



皆、公式試合の時には見れないくらい、キラキラとした優しい顔で動き回る。



「歩ちゃん『キュッ』『スッ』『ポーン』で!」



「はいよぉ!」



俺のサイン通り、秀吉キャプテンを抜くために、歩ちゃんはキュッと足を止め、ドリブルの合間でスッと体勢を低くし、そのキャプテン長い脚の間にポーンとボールを通す。



「ナイスアシスト!」



それを待ち受けていた幸ちゃんが受け取り、ゴールへ走る。



「幸ちゃんは『ダムダム』から『グルン』な!」



その司令に、行雲先輩相手に幸ちゃんは2度、ダムダム、とドリブルで近付き、自分の判断で右にグルン、と体を翻し、ボールを手から放つ。



それは、誰にも邪魔されず、ゴールリングを潜った。