【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

「椿!椿椿椿!何しよっとや!しかも、組んでる奴!」



目の前に来た瞬間、俺を腕の中に収めて幸ちゃんと歩ちゃんを指差すのは、行雲先輩。



「いや、先輩達だってこれに出るの内緒にしてたじゃんか」



まあ俺達の場合、内緒にしてたってか、今日突発的に集まって飛び込みで参加したんだけどさ、というのはとりあえず心の中に飲み込んだ。




それにしても水高のお姫様は、今日も睫毛ふっさふさできゅるるんってしてて、あーもー無駄に可愛いな、チクショウ。



「いやぁ俺達も昨日ねぇ、秀ちゃんにフライヤー見せられて出るん決めたけんねぇ」



歩み寄って来たピカ先輩の言葉で、ギャーギャー騒いでるかわいこちゃんズに、無言でこの大会のフライヤーを見せる秀吉キャプテンの構図が簡単に目に浮かぶ。



うわっ、想像しただけで微笑ましいんですけど。



「小鳥遊が敵に回るとは、面倒なことになったな」



「いやぁこっちこそ。あんた等敵とか辛いわ。まあ、お手柔らかに」



いつまでも引っ付き虫の可愛いお姫様を引き剥がし、ポーカーフェイスで言った秀吉キャプテンに答え、俺は幸ちゃんと歩ちゃんを引っ張ってコートの端に連れて行く。