見えるのはゴールだけ。



俺の頭の中は秀吉キャプテンの美しいシュートモーションが鮮明に流れ、体の動きを形成する。



フリースローラインから、多分、今まで小さい頃から何百万本と打ったそれの中で、一番綺麗なフォームで打ったであろうワンスローが、俺の手を飛び立って行く。



「まだ止めれる!!」



「邪魔させんわ!」



それを必死にブロックしに飛ぶ御劔と、インテンショナル覚悟で体をぶつけて阻止する泰ちゃんを視界の左端で留めながら。



ボールは、バックボードにバウンドし、ゴールリングの中へ落ちていった。



ビッ!ビィィィィ!!



ゴールと共に、鳴り響く終了のブザー。



水高58-56荒商



互いに攻めのみに特化した激闘が、俺の、沢山の試合の中で一番地味で、一番基本的なシュートと共に、幕を閉じた。