【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~

ジャンプボールは、最早今日の試合で県内でNo.1センターと言わしめたであろう泰ちゃんが難なく取る。



向こうは御劔歩中心のアップテンポなスタイルで攻めてくる。



だったらこっちはゆっくり、じっくり行こうじゃないか。



ダム、ダム、ダム。



「さー、まず一本確実に行こう」



「なんねぇチビ!さっきはスゲースピードでしよったやんけ!トロトロすんなや!」



相手ガードは素早くこちらにくっ付いてくる。



「いやぁ、疲れたんだって、慧心との一戦でさ」



俺はローテンポについていたドリブルを、膝を落としてぐん、とスピードをあげてあっという間に相手を抜き去ると、そのまま行雲先輩にパス。



「先制点は頂くばいっ!」



そのままのスピードで行雲先輩がシュート…と見せかけて引き寄せ、有ちん先輩へノールックパス。



有ちん先輩もそれをキャッチすることなく素早く弾くと、その先にはノーマークの秀吉キャプテン。



県内屈指のシューターの秀吉キャプテンが、誰よりも美しいモーションで3ポイントとして沈める。



水高3-0荒商



開始8秒にして、出来上がった、うちのオフェンス。



速攻に出なかった俺のボール運びと、それを覆す他のメンツのやり取りに、リズムが取れない荒商。