ボールは、ゴールリングに……通らず、跳ね返った。



すかさず飛び上がる、慧心のセンターとフォワード二人。



慧心サイドが早かったか………!



と思いながらも、ただただ、見つめる空中での戦い。



そんな中、行雲先輩はしなやかに、体を踊らせるように、飛んだ。



動作は遅かった筈なのに、どの選手よりも高く、飛び上がる。



これまで、一瞬で過ぎ去っていた時間が、まるでスローモーションみたいで。



行雲先輩の指がボールに触れ、掌でしっかりキャッチし、細く、滑らかな肌を持つ腕に青筋と筋肉の筋が浮かぶ、少し不釣り合いなコントラストが妙に綺麗。



ドォォォン!!



着地し、すぐさま速攻に向けて、腕をボールごと肩より後ろに引いた姿を見届けたその時。



ビィィィ!!!



試合終了のブザーが鳴り響く。



水高81-79慧心



泥臭く、必死にぶつかった試合を勝ち取ったのは、挑戦者の俺達だ、と告げるように。