柏原は俺に顔をずいっと寄せてその小馬鹿にした笑顔のまま、俺に言う。



「小鳥遊君はずいぶん小柄やけど、水高のマネージャー?」



「っ…!?選手だ、悪いか!」



やっぱり、スッゲームカつく奴!



ギリリ、と奥歯を噛み締め睨むけど、柏原は表情ひとつ変えない。



「あれぇ、椿ちゃん達、まだおったと?早く行かんと秀ちゃんに怒られるばい」



苛々している俺の後ろから、ジュースを買って来たピカ先輩がひょっこり現れる。



「おっと失礼。身長だけがバスケやない例が、水高にはおったね」



そのピカ先輩を確認した柏原は、悪気のなさそうな声でそう言うと、サッと俺から離れた。



「じゃあ、また明日ー。今年も水高はベスト4で終わらしてあげますよー」



最強にムカつく置き台詞を残し、さっさとチームメイトの元へ戻っていく奴の背中に、唾を飛ばしてやりたくなった。



「なんね、あん奴!」



ピカ先輩と共に戻って来ていたであろう行雲先輩も、苛立ち混じりに呟く。



「すみません、昔から、ああいうこつば言う人間で」



「泰ちゃんが謝ることなかて。椿ちゃん、明日、コテンパにしてやる楽しみが出来たねぇ」



ふふ、と笑うピカ先輩のハーフの日本人離れしたエメラルドグリーンの瞳が、爛々と光った。