「俺達にもおすそ分けしてばい」



「ぶちょっ!このハチミツレモン、うちのマネジがするんより美味かよ!」



「ってか、そっちの茶髪の彼の玉子焼きもふわっふわで美味そう」



手作りおやつ争奪戦の中に、突如現れる、新たな三人の影。



赤と黄色のジャージを纏ったそいつらは、さっき菊地に止めを刺した、肥後学の選手だ。



「これ、由貴ちゃんが作ったと?」



「いーえ、うちの自慢のポイントガードが」



先程の菊地とは違い、穏やかそうな雰囲気の肥後学のキャプテン、確か、三浦だったっけ。



「ねぇねぇ、どこでバスケやっとったと?水高の新しい司令塔君」



「どーも。俺、今年から熊本に住んでて、全然知られてないもんで」



正確に言うと、正式なバスケを始めたのが高校入ってからだから、なんだけどね。



柔らかそうな黒髪を靡かせ、ニコニコと笑う黒縁眼鏡の三浦。まあ、裏のある感じじゃ無さそうだ。