「やっと見れた…あんたが冷静じゃない顔」



木下へ向けて指を向け、さっきの第2クォーターの仕返しと言わんばかりにニヤリと笑ってやると、オフェンスへ加わるべく、走り出した。



有ちん先輩は試合終盤なのに序盤と変わらぬ動きで外側から切り込み、ゴール下から得点を取らず、行雲先輩へナイスアシスト。



行雲先輩は得意のパワープレイで相手を寄せ付けることなく、ゴール下からショットを放つ。



あの、最初の俺と有ちん先輩のやり取りから、流れは少しずつだけど、俺達に戻ってきていた。



「ディフェンス一本!」



「おおっし!」



疲れもピークな俺達を奮い立たせる、行雲先輩のデカイ声に、縺れそうな足がまだまだ動く。



バチィィィン!!



「っしゃあ!!ナイスブロック泰河ァ!」



ここにきて、最後の力を振り絞るようにゴール下でボールをブロックする泰ちゃん。



それをリーチの長い秀吉キャプテンが拾い、他のメンツよりまだまだ動けるその体でガンガン走り、得意の3Pシュートを美しい、肌が栗立つようなモーションで放った。



「っし!」



「ナイッシューキャプテン!愛しとるっ!」



すかさず秀吉キャプテンにハイタッチをしに行くのは、やはり行雲先輩で、そのまま直ぐにディフェンスに戻る。



「一本!一本取り返していくばい!(おかしい…疲れとるのは向こうの筈やのに)」



木下は冷静にカットインし、ボールを他の選手に回す。