「い、言います、言いますからとりあえず離して下さい~!」



そう必死に懇願すれば、サッと素早く離してくれたななちゃん先輩。


どうやら聞きたくて聞きたくて仕方ないらしい。


まぁ、何はともあれ助かった……。



「六花、早く早く」



そんなに急かさなくても言いますって。



「じ、実はですね……」



キラキラと目を輝かせているななちゃん先輩にそっと身を寄せた私は、恥を捨てて昨日の出来事を包み隠さず全て話した。



途中、「いやん」だの「やるわね」だの意味の分からない言葉を発していたななちゃん先輩は、私の話を聞きながらずっと佐久間をガン見。



ガン見されている佐久間はと言えば、右手に持っているボールを人差し指でクルクルと器用に回しながら眠たそうにあくびをしていた。



ただ鈍いだけなのか、それとも眠さで気付いていないだけなのか。



どちらなのかは分からないけれど、ここから見る限りじゃどうやらななちゃん先輩の視線には気づいていないらしい。


だから私も遠慮なくガン見した。


まぁ、ななちゃん先輩ほどじゃないけど。