「……前みたいに、戻る?」
「あぁ」
「ホントに?」
「うん」
「……うそ」
「なんだよ嘘って。前みたいに戻りたいって相原が言ったんだろ?」
「……っ、わ、私はそんなこと一言も言ってないっ!」
「ふーん。じゃあこのままで──」
「やっ、佐久間っ!」
「……っ」
だから、そんな可愛いことすんなって。
俺の胸元をむぎゅっとつかみにきた相原はさっきと同様、両頬をリンゴみたいに真っ赤にさせてうつむいている。
……ホント、勘弁しろよ。
お前、今どんな顔してんのか自分で分かってんの?
どんなに憎まれ口を叩いていても、相原の顔を見れば強がって言ってるんだってすぐに分かる。
真っ赤になったり泣きそうになったり。
こんなにも可愛いつよがり、俺は見たことがない。
だからもう少し。
「──嘘。前みたいに戻る」
相原の可愛いつよがりを見ていたい。