恋する君の可愛いつよがり。



「……っ、佐久間……!」



もう少しで相原に触れるというところで強く押された胸。



「ちょ、佐久間ってば……っ!」



けど、どれだけ拒絶されても俺は止まらなかった。


いや、違う。止まれなかった。


一歩足を踏み出せば相原が一歩後ろへと下がり、それをまた追いかければ相原は逃げるように一歩下がる。



それを何度かくり返して、相原の背中が壁にトンッと軽くぶつかったところでようやく止まった。



「さ、佐久間、ちょっと待って!」



顔を真っ赤にさせ、俺の胸元をさっきよりも強く両手で押し返す相原。


いつもなら殴りに来ててもおかしくないのに、今日はその素振りすら見せない。


それどころか相原は小さく肩を震わせながらうつむいている。


可愛いその姿に俺の口角がゆるやかに引き上がったのが分かった。


いつもとは正反対なその姿に、どうしようもなく加虐心があおられる。