「……バカだろ、俺」
ホント、大バカだ。
なにが“本気だってことを証明したかった”、だ。
なにが“余裕を持ちたかった”、だ。
格好つけて離れて、結局はこの様(ザマ)。
格好悪ぃ。
「相原……」
もし。
もしやり直せるなら。
もし、あの日に戻れるのなら。
俺は、アイツと離れようだなんて絶対に思わない。
回りくどいことなんかせず、ありのままの自分でアイツを振り向かせてみせる。
“ニセモノの恋人”なんて肩書き、クソ食らえだ。
そう心の中で吐き捨てた時だった。
──ガラッ。
「佐久間……!!」
体育館内に響いたのは、自分の名前。
「……っ、」
……なんで。
聞き知った声色にすぐさま振り返れば、視線の先にはさっき飛び出していった筈の相原の姿があった。


