だけど、もう限界かもしれない。
教室という狭い空間で、
体育館という狭い空間で、
アイツの声を聞くたび“話したい”という欲望が湧き上がってくる。
最初こそガマンしてたものの、今はもうそれをどうやっても抑えることが出来ない。
アイツの顔を見る度“触れたい”と、“話したい”と、
そう強く願っている自分がいる。
だから、アイツがバスの中で『ここがいい』と言ったとき抑えられなくなったんだ。
気づけば俺は寝入ったアイツの手をそっと握りしめていた。
さっきだってそうだ。
武也先輩とアイツが二人っきりでいる所を見て嫉妬した。
距離を置くって決めたのは自分なのに、嫉妬して無理矢理アイツをこの胸の中に収めた。
「だせー……」
正直、これからどうしたら良いのか分からない。
何が良いのか、何が悪いのか。
俺はただアイツと話したい。
触れたい。
それだけ。


