『……私とはもう、恋人になる気はない?』
脳内にこだまするアイツの泣きそうな声。
「声、震えてたな……」
泣かせる……つもりなんてなかった。
俺はただ、本音を言っただけ。
『──俺、もうアイツとニセモノの恋人になんかなる気ないっスから』
そう。
俺は本音を言っただけだったんだ。
俺はもう二度とアイツと“ニセモノの恋人”になんかなる気はない。
なりたくなんかない。
最初はそれでも良いと思ってた。
ニセモノの恋人でもアイツの隣にいられるのなら、
俺のモノになるのなら、それでも良いと思ってた。
でも、それはアイツも俺と同じ気持ちだと思ってたからだ。
……いや、違うな。
正しくは俺の気持ちがアイツに伝わってるのだと思ってたから。
最初はニセモノの恋人でも、それがキッカケで本物の恋人になれるかもしれない。
そう、淡い期待を抱いてた。
だからキャプテンから命令された時素直に従ったんだ。


