恋する君の可愛いつよがり。



その佐久間のライバルの由弦くんがなぜこんな所にいたかと言うと、理由は至極簡単。


自由時間だったから。


練習試合をする聖南高校の合宿所は私たちが泊まっている合宿所から車で五分ほどの場所にあるらしく、そのどちらの合宿所も海に面していた。


砂浜を通ればそれこそ十分ほどで着く場所にある。


由弦くんは一人になりたくて、気晴らしに砂浜をランニングしていたらしい。

その時にこの岩場を見つけた。





『佐久間のバカヤロー!!』



寝転がって星を見ていた由弦くんは、突然聞こえてきた私の叫び声に飛び起きた。



『佐久間のくせに無視すんなー!!』



最初こそ黙って聞いていたものの、聞こえてくる“佐久間”という名前にもしかして、と思い、私に声をかけたらしい。