恋する君の可愛いつよがり。


するり、腕を離したかと思えば、佐久間はグシャグシャと私の頭をかき回しながら不敵な笑みを浮かべる。



「行くぞ」

「ちょ……!何?」

「社会科教官室。お前係りだろ?呼ばれてんの」



かき乱された髪の毛を直すひまもなく腕を引かれ、そのまま佐久間に引きずられていく。



「いってらっしゃーい」と聞こえた声に肩越しに振り返れば、ニタリと意味ありげに微笑んでいる依那ちゃんと目が合った。


その笑みに助けてと言えるわけも無く。

気づけば私たちは教室を後にしていた。