恋する君の可愛いつよがり。




「……うーん」


「や、やっぱり由弦(ユヅル)くんにも分からない?」



佐久間とのことを全て話し終えた私は、由弦くんからの返答をジッと待っていた。


けれど、由弦くんはむずかしい顔をしたままなにも言わない。



やっぱり、同性から見ても佐久間の考えてることって分からないのかな……?


佐久間のこと知ってるって言っても対戦してる時だけだもんね……。



だまり込んだ由弦くんを見て、はぁ、とため息がこぼれ落ちる。





──彼、澤本 由弦(サワモト ユヅル)くんは佐久間のことを知っていた。


なぜなら、彼は明日ウチのバスケ部と練習試合をする聖南高校のバスケ部員だから。


もっとくわしく言えば、佐久間と由弦くんは中学時代に大会で何度も対戦してきた、言わば宿命のライバル。


もちろん佐久間も由弦くんのことを知っている。


由弦くんからそのことを聞いて、あの時、佐久間が『楽しみじゃん』と言った意味がようやく分かった気がした。


佐久間は知っていたんだ。

ライバルと呼べる由弦くんが聖南高校にいることを。


だから嬉しそうに笑ってた。