「オイ、瞬──」
「武ちゃん先輩!!」
もう、ここにいたくなかった。
これ以上ここにいると泣いちゃいそうで。
佐久間の前で泣いちゃいそうで。
「罰ゲーム、別のことにして下さい!私、なんでもするんでっ!」
今すぐこの場から立ち去りたかった。
佐久間の前で泣くなんて、そんなの絶対に嫌。
「わ、私、もう疲れたんで先帰りますね!」
佐久間の前でなんか泣きたくない。
「六花!!」
「相原!!」
二人に呼ばれたけれど振り返らなかった。
ううん。
振り返れなかった。
だってもう涙が零れ落ちていたから。
体育館を出るまで堪えきれなかった。
「………っ」
無理だ。
依那ちゃん、佐久間と仲直りなんてもう無理だよ。
だって拒絶されちゃったもん。
私とは恋人になりたくないって。
口に出してハッキリと言われちゃった。


