一瞬だけ振り返った佐久間は無表情でそう告げると、用は済んだと言わんばかりに再びシュートの練習を始めた。
それは本当に一瞬の出来事で。
私には佐久間が何を言ったのか理解出来ていなかった。
……え?え?今、佐久間なんて言った?
佐久間の言った言葉を頭の中で何度も何度も反芻させて。
それでやっと理解した。
「……私とはもう、恋人になる気はない?」
実際は“ニセモノの恋人になる気はない”だけど、今の私からすればどちらでも同じだった。
佐久間に拒絶された。
ただ、それだけ。
頭を鈍器で殴られたかのような衝撃にそれ以上言葉が出なくて。
視界に映る佐久間はさっきと変わらず背を向けてシュートの練習をしている。
それが余計に拒絶されているように感じた。
「り、六花……?」
「………」
呆然としている私の肩をななちゃん先輩が軽く揺する。
それでも私のはなんの反応も出来ない。
頭の中が真っ白で、
もうなにも考えられない。


