声がした方へと視線を向ければ。
「せんぱ──」
視線の先には声色よりも楽しげなななちゃん先輩の笑顔があって。
「……チッ」
そのうさん臭い笑みを見た佐久間は小さく舌打ちし、無言で私の身体を解放した。
離されてしまったことに寂しさを感じた私は、ちらり、佐久間を盗み見る。
すると、佐久間の視線はななちゃん先輩に向けられたままで。
こ、こわ……。
その表情はさっきよりも険しかった。
「さっくん、なにそんなに怒ってるのー?」
「そうだよ。お前なにそんなに怒ってんの?俺と相原が二人っきりって言ったからー?」
「えっ!?」
私と武ちゃん先輩が二人っきりだと思ったから!?
え、佐久間、それで怒ったの!?
そ、それってもしかして……。


