恋する君の可愛いつよがり。



その願いもむなしく、手招きされた佐久間は気だるげな足どりで私たちの元へとやってきた。



っていうか、なんでそんなに機嫌悪いの!?

話しかけづらいんですけど!!



目の前にいる佐久間はそれはそれは機嫌が悪くて。


あまりの恐さに逃げるように先輩の後ろに隠れた私。



チラリ、先輩の後ろから佐久間の様子をうかがえば……。


ひぃぃぃぃぃ!


もの凄い形相で私をにらんでいる佐久間がいた。



な、なんで怒ってんの!?

超恐いんですけどっ!!



目を合わせていられなくなった私は、出した頭をサッと引っ込めて両耳をふさぐ。


すると。



「二人で自主練?仲良いっスね」



かすかに聞こえてきたのは、さっきよりもはるかに怒気を含んだ佐久間の声。



「ちょ、二人じゃ──」


「そそそ。仲良いんだろー?」



……って、コラー!!



否定しようと思ったら嫌がらせかのように私の言葉をさえぎった武ちゃん先輩。


しかもガシッと私の肩を組んでなぜか仲良しアピール。



馬鹿ー!!こんなことしたら佐久間が誤解するじゃない!!