恋する君の可愛いつよがり。



自分が自主練に誘ったくせに自分は壁にもたれて見学しているなんて、ホント先輩はなにがしたいんだろう?


さっきもそうだった。


佐久間とのことを聞くや否や「了解!」と意味不明な返事をして体育館へと戻っていった先輩。


しかもその後はなにを言うわけでもなく、普段通りに練習している。



何のアドバイスを得られないまま練習に戻った私は当然不完全燃焼で。


そのあと、なんとも言えないモヤモヤを胸中に抱えたまま練習時間を過ごした。



そして、やっと練習が終わったかと思えば自主練のお誘い。


本当、何がしたいのやら。



「どうした?腹減ったのか?」


「いっ゛!もう!さっき食べたとこです!」



ボーッとしている私の額にピンッとデコピンしてきた武ちゃん先輩にむぅと口をとがらせる。


さすがに仕返しは出来ないから、その代わりに目一杯顔をそむけてやった。



「冗談だろ、冗談~」

「………」



へラヘラと笑いながら機嫌を取りにくる武ちゃん先輩に私のイライラは最高潮。


あぁ、もう!今の私に冗談なんてきかないんですっ!!



そう心の中で叫びながら武ちゃん先輩のボールを横取りしようとした時だった。




「何してんの?」



背後から聞こえてきたのは怒気をはらんだ佐久間の声。